外国人の永住許可審査は、今後さらに厳格化していくことが予想されます。
10月より永住許可手数料が1万円から20万円に引き上げられることよりも、影響を受けるのは年収要件の引き上げであると考えております。
私は行政書士として外国人の在留資格・永住申請を扱う一方、外国人のお住まいとしての不動産購入の相談を受けることも多いです。
その両方の実務から考えると、永住許可の厳格化は日本の不動産市場にも影響を与える可能性があると考えています。
外国人が日本で住宅を購入する際、永住権の有無は住宅ローン審査に大きく影響します。
実際、永住権を持っていない段階では金利の高いノンバンク等を利用して住宅を購入し、その後永住権を取得してから、金利の低い銀行の住宅ローンへ借り換えるケースもよくあります。
つまり、
高金利ローンで住宅購入
↓
永住取得
↓
低金利住宅ローンへ借り換え
という資金計画です。
しかし永住許可が厳格化すると、「数年後には永住を取得できる」という前提が不確実になります。
さらに今後、永住許可に一定の年収基準が明確に設けられるようになれば、その影響はより大きくなるでしょう。
永住を取得できなければ、高金利のローンを長期間負担する可能性があります。
そのため、永住取得前の住宅購入を見送る外国人が増えることが予想されます。
影響を受けやすいのは、数億円の不動産を現金購入する海外富裕層ではありません。
むしろ、日本で働き、貯蓄をしながら自身のライフステージに合わせ、住宅ローンを利用して数千万円程度の自宅を購入する外国人の実需層です。
特に外国人居住者の多い地域では、
永住厳格化
↓
住宅ローン利用者の減少
↓
住宅購入需要の減少
という流れが生じる可能性があります。
一方、日本で働き続ける外国人には住居が必要ですから、住宅を購入しない分、賃貸期間が長くなり、外国人の賃貸需要が増える可能性もあります。
今後は外国人の不動産市場を見る際に、不動産価格だけではなく、
「在留資格・永住許可・住宅ローン・不動産購入」
を一体として考える必要があると思います。