日本で起業する外国人向け在留資格「経営管理ビザ」について入管が取得要件を厳格化する方針を固めたという報道が先日ありました。
現行制度では「資本金500万円以上」または「常勤2名以上の雇用」でOKですが、改正されると必要要件は「資本金3,000万円以上」かつ「常勤1名以上の雇用」となります。
取得要件のハードルがかなり高くなることに加え、最初に用意する資本金3,000万円の邦銀口座への送金の問題も相まって、今後は経営管理ビザ取得申請数もかなり減るのではないかと予想されます。
「経営管理ビザ」の厳格化は少なからず不動産市況にも影響が出るのではないでしょうか。しかしながら、日本の不動産市況にどう影響するかについて触れてる記事やニュースがほとんど見当たらないので、当方の見解を述べさせていただきます。
当方、行政書士としても活動しており、報道後「経営管理ビザ」取得についての問い合わせが急増しております。「小紅書」等の中国のSNSを見てみると、かなり関心を持たれており注目の度合いも強いです。従いまして改正前に駆け込み申請がかなりあるものと思われます。
補足ですが資本金500万円さえ用意できれば「経営管理ビザ」は簡単に取れるというようなイメージを持たれてる方も多いようですが、実際はそんなに簡単なものではなく入管が、実態がないビジネスモデルや事業計画であると判断した場合は即否決となります。当方もヒアリングの段階で実態がないと判断した場合は一切受任をしておりません。
「経営管理ビザ」取得に関して、まず法人設立が前提となり、本店所在地となる事務所を用意する必要があるため、小規模オフィスや事務所利用できる賃貸マンションの需要は減るかと思います。
また、民泊を主要事業として「経営管理ビザ」の取得を目指す層も多いことから、こちらも影響は軽微であるものの需要が抑制される可能性があるかと思います。また、地方の収益不動産の取引減少も予想されます。
都心のマンションや、居住用としての戸建市場はほぼ影響はなさそうです。理由としてはこれらの物件の購入層はビザ取得を目的としてないケースがほとんどだからです。ただし、「経営管理ビザ」取得後に日本に拠点を移して居住用として住宅を購入するケースも多いことから、二次的要因として影響が出る可能性があります。すぐに影響は出ないもののビザ申請の審査に、現在、半年~1年くらいかかることから、いずれ影響が多少なりとも顕在化すると推測します。
いずれにしましても、今後の不動産市場の健全化に大いに期待しつつ、まだ改正決定ではないため今後の動向を注視していく必要があるかと思います。